漢方薬について
漢方薬については学生の頃から、あるいは大学の皮膚科に入局して以来、独学、独習できました。はじめは先輩に良いといわれると病気で試したり、配属の病院が変わるたびに採用薬品が変わり処方も左右されたりでした。
そんな中でも十数年外来をやっていますと独自の漢方感は養われてきたようで、患者様を診て証判断に基づいて、漢方薬を選択しています。
今回、2008年11月21日に札幌市中央区札幌すみれホテルで漢方入門の教育講座がありました。(講師:静仁会静内病院院長 井齋偉矢先生)方剤をよく知ること、そしてイメージを明確にもつことが大切であることを教わりました。
漢方薬には西洋薬と違った効果、作用もありそれぞれの特徴をよく知った上で良いところを取り入れて皮膚病診療に役立ててゆきます。
帯状疱疹の臨床と治療について
2008年11月15日に開催された新しい帯状疱疹の治療薬の発売記念講演会に出席しました。
帯状疱疹では発症による皮疹とともに急性期の疼痛と慢性期に疼痛も問題になります。基本的には早期からの抗ウィルス治療薬の服用により症状を最小限に抑えてゆくことが肝要です。
ところで、夏に帯状疱疹は少なくなりますが、これはウィルスそのものが熱に弱いためだそうです。秋から冬に移り変わるとき人(宿主)が体調を乱すために多くなるとばかり考えていました。(人間の都合ばかりとはいえない生物学的理由もあったわけです)
帯状疱疹の治療は急性期が特に大切です。早期の皮膚科受診を心がけましょう。
第20回北海道MMC研究会から
MMC研究会はMacro and Micro Circulationに関する各分野からの臨床研究を集めた研究会です。日常診療に応用できる何か良い知見はないかと参加しました。今回はシンポジウム形式で、テーマに糖尿病でした。全体を通しての感想は、糖尿病を治療する医師と糖尿病の合併症を治療する医師の見解の違い、“温度差”が気になるところです。重症の糖尿病の方でもここまで治療していると頑張っている施設の発表・発言でした。
皮膚科としては糖尿病を抱える患者様の皮膚症として一番気にしなければいけないことは足の傷であり、小さな感染症からの悪化、壊死・潰瘍化をいかに防ぐかです。重症になる前のフットケアが大切で、潰瘍についてのゲートキーパーは皮膚科であり、形成外科であるのです。さらには早期からの内科(主治医)への警鐘、患者個人への啓蒙も大切であり、信頼できる医療機関へのアクセスも重要です。
足底の、足趾のミズムシやタコ、ウオノメは放置せずに早く治しましょう。小さな傷はとくに放置せずに治療しましょう。
ニキビのために自分でできること
昔から「青春のシンボル」といわれてきたニキビですが、最近は十代の若者だけではなく、働く女性や男性でも悩んでいる人は多いようです。
ニキビの病名は尋常性ざ瘡といい毛穴と皮脂腺の病気です。単にバイ菌が増えただけではなく、毛穴の皮膚の構造や皮脂の分泌量が関係します。もちろん、有名なニキビ菌(P.acnes)が関与していることは間違いなく、従来の洗顔、抗菌剤の外用、内服という治療は有効です。
しかしながら、ニキビが繰り返すのも確かです。それは時々刻々と皮膚の状態がことなるためです。ニキビができやすい状況を考えてみます。汗をかいたとき、長時間洗顔や入浴ができないとき、寝不足をしたとき、お酒を飲んだとき、糖分の多い食事や野菜の摂取が少ないとき、月経や妊娠といった性ホルモンのバランスが変わったとき、精神的ストレスがかかったとき、便秘がつづいているとき、暑すぎ、寒すぎなど環境の急激な変化にさらされたとき。空調の効いた環境に慣れた人の場合外に出るだけでストレスとなるそうです。皮膚局所だけではなく全身の状態を整えること、生活のリズムを確立することがニキビをなくすことにつながってゆくのがおわかりでしょうか。
ところでニキビにいろいろな段階があるのを区別できますか。皮脂がかたまり毛穴がつまった状態、面皰(めんぽう)といいます。赤く炎症を起こしたかたい丘疹の状態。皮下や毛包で感染が起こり、毛穴の基本構造が破壊された膿疱の状態。そしてニキビ痕の色素沈着、瘢痕も問題になります。
それぞれに対して治療法があります。さらにニキビの大敵である化粧についてのアドバイスなど皮膚科医には伝えたいことが他にもあります。ニキビは皮膚科専門医で適切な助言を受けて治療を行いましょう。
(北海道新聞2008年10月6日夕刊に掲載)
第1回皮膚の健康のためのセミナー
市民の健康増進、地域の方の皮膚病への理解と正しいケアへの啓蒙活動として赤れんが皮フ科クリニック主催で行いました。テーマは尋常性ざ瘡(ざそう)・ニキビの悩みについてでした。残念ながら、宣伝期間も短く、参加者は数名でしたが、皮膚の機能、皮脂の役割からニキビの発生機序、対策、治療、尋常性ざ瘡の治療ガイドラインの解釈、期待される新薬までお伝えしました。
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